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今日もいい日

不定期更新な日記だったり定期更新ゲーム『False Island』の日記だったり。 気分次第で更新、今日もいい日。

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Blackwind's Police Blotter 6-4 -Sudden Storm-

予想したとおり、オーベルは嫌な顔一つせず二人を歓迎してくれた。
ただアンネローゼの進言もあり、オーベルが現皇帝の実子であるという事実は伏せておいた。
二人が色々と考えてしまうと面倒だからだ。
そのあたりはオーベルも心得ており、『道楽貴族の次男坊』などと名乗っていた。
一晩だけではあるが、二人にはゆっくりしてもらいたいものだ。
ウィルがメイドたちに見蕩れていたと言ってメルが怒っていたが……まあそれはウィルに任せるとしよう。
俺の方は少し急がねばならない用事があるのだ。



「どうぞ」
部屋の主の了解を得て扉を開ける。オーベルは机で何やら書き物を、部屋付きの三人のメイド達(三姉妹だと言っていた)は荷造りをしていた。
「おやシュツルム。こんな時間にどうしたのです?」
「折り入って相談したいことがある。済まんが人払いを頼む」
一瞬怪訝な顔をしたが、すぐに合図が出されてメイド達は退室していった。
「さて……わざわざ人払いとは、穏やかでないですね」
手近にあった椅子を一脚引っ張り、オーベルの向かいに座る。
「夏祝祭のことでな。三日目の晩の催し物はもう決まっているのだったな?」
「ええ。例年通り皇国歌劇団の演劇ですが、今年は陛下を含めた皇族も観る天覧舞台です」
「その歌劇団に卿の顔は利くか?」
「?……ええ、後援会長がマグドールですからその伝手を辿れば」
「よし。オーベル、これは賭けだ。もしかしたら何も起きずに終わるかもしれんが……」
オーベルが書類の束を脇にどけて、正面から俺を見据えた。
「何やら企んでいますね?……伺いましょう」

翌日の昼。既にウィルとメルはテレーズの迎えで移動しており、俺とアンネローゼは皇都内を別邸に向かっていた。
皇都内に入っていくらもしない内に、アンネローゼが話しかけてくる。
「妙ですね。警備隊の動きが慌しくなっています」
「そうだな……何かあったのかもしれんな」
目に付く隊士の数がまず多い。それに市中に張られている検問の数も昨日までとは段違いだ。
不審人物と目した者にはすぐに職務質問を行っているし、路上生活者達にも頻繁に聴取をしている。
「別邸への通り道に四番隊舎があったな。そこで聞いてみるとしよう」
「ガートルードも駆り出されていると思いますが」
「話を聞くだけなら誰に聞いてもよかろう」
例年よりも高いという気温の中を警備隊士が駆け回り、皇都の外から来た者たちを相手に普段より多くの店が喧騒を起こす。
一種異様な空気の中を抜けて、四番隊舎の扉を潜った。
太陽を避けられるだけでも気温は大分変わり、心地よい涼しさを感じる。
受付の女性隊士に聞くと、やはりガートルードは外回りに出ているという。
「何かご伝言がありますか?」
「いや、いい。今日に限って隊士の数が大分多いように感じたのでな。それを聞きたかったのだが何か知らぬか?」
「え、ご存知ないんですか?」
さも驚いたという風に女性隊士が言った。
「今朝一番で、皇都の中央広場に高札が立ったんですよ。しかもそれが、『赤髭』と『白姫』からの予告状だったんです!」
「ほう……」
「何と……!」
「予告が出るなんて初めてのことですけど、実際出てる以上はこっちものんびりしてられませんから。四日間はみんな非番返上ですよ……」
がっくりと項垂れてしまった。とばっちりを受けたとはこのことだろう。
「四日間と言われましたが、それは何故です?」
「予告がそうなってるんです。四日後、夏祝祭の最終日。天覧舞台においてオーベル・フォン・マイザー候の持つ錫杖、『白銀の鷲』を頂戴仕る……」
「なっ……!」
アンネローゼが絶句した。オーベルに忠を誓う彼女としては、持ち物とはいえ主が狙われるなど許せることではないだろう。
「中央広場なんかに立てられたおかげで、都民はみんな知ってますよ。屋台を引いてきた商人が見つけて、大騒ぎになりました」
「随分と大胆だな。衆人環視の中で皇族を相手取るとは」
「そうなんです。その件で総隊長は宮殿で陛下とお話されてますし、各隊長も朝から集まって警備体制を見直す会議をやってて。あたしたち事務員以外の隊士は全員外回りです」
「大変だな……無理をせずに勤めてくれ」
「ありがとうございます。お気をつけて」
隊舎を出ると、アンネローゼが怒気を孕んだ声で告げた。
「シュツルム殿。申し訳ありませんが私もオーベル様の所へ参ります」
「俺も同行しよう」
「いえ、これは私の職務でもあります。シュツルム殿にご足労いただくわけには……」
「俺もオーベルに用がある。何よりその用には卿も関係があるのだ」
「……え?」
アンネローゼは理解できずにいるが、今この場で話すことはできない。
複雑で、壮大な話なのだ。
「行こう。何にせよ、オーベルと会わねば話は始まらんぞ」
先に歩き出すと、俺の態度からここでの追求は無理と諦めたのだろう。
アンネローゼもすぐに追いつき、俺の隣に並んだ。
「隠し事は無用にお願いいたします」
「無論だ。それと、先に言っておくが」
「何でしょう?」
「済まん」
何か嫌な予感を覚えたらしく、ため息をつくアンネローゼ。
それ以後は宮殿に着くまで、お互いに何も言わぬままだった。

皇都の中心に位置する中央広場は、既に人で溢れかえっている。
最終日の最後に行われる天覧舞台以外にも、大道芸や物売りなどが国中から集まってくるのだ。
円形の広場を縁取るように露天が並び、中には明日の初日を待たずに営業を開始している店もある。
その広場から北に真っ直ぐ進み、一区と十二区の境に位置するのが皇帝の住む皇宮――通称『宮殿』。
複数の尖塔を擁し、周囲を堀に囲まれた白亜の建造物で、城と呼ぶほど巨大ではないがかなりの規模だ。
正面玄関にあたる南門に向かうと、重厚な鎧に身を包んだ衛兵の姿が見えてきた。警備隊とは別に宮殿と皇族を護る、皇国親衛騎士団だ。
アンネローゼが姓名と用件を伝えると、あらかじめ話は通っていたのだろう、大して確認されることもなく通行許可を得られた。
堀にかけられた橋を渡り中庭に出る。刈り込まれた芝生や植え込み、色とりどりの花が咲く花壇はいずれも熟練の庭師によるものだろう。
思わず足を止めて寝転がりたくなる雰囲気だ。
「ここで昼寝をしたらさぞ気持ちよかろうな」
「……」
「冗談だ」
宮殿に目をやると、中から出てきた騎士の一団の中に見知った顔があった。
片手を上げて挨拶すると、向こうも気付いて挨拶を返してきた。
警備隊総隊長のヒルデガルド・フォン・マリンディアだ。
「やあシュツルム、先日はどうも。珍しいところで会うね」
「例の高札の件でオーベルと話があってな」
「やっぱりね。まさか予告状を出されるとは、私たちも嘗められたものだよ……全力を尽くすことは約束するよ」
「宜しくお願いいたします。陛下とお話されたと聞きましたが?」
「うん、マイザー候に出席をご遠慮いただけないかと思ってね。警備隊のメンツに拘ってる場合じゃないから」
「結果は芳しくなかったか」
「泥棒風情を恐れて身を引くなどデーツ皇族の恥である、だって。まあそう言われるとは思ってたけど、私の立場上陛下とはお話しておかないといけないから先に済ませちゃったのさ」
「何か思うところがおありなのですか?」
ヒルデガルドが腕を組んで、形のいい顎に手を当てた。
「分からないんだよね、あの高札。何だって今回に限ってあんな物を出したのか」
「そういえば初めてだと聞いたな」
「敢えてここで予告状を出してきたっていうのが、どうも引っかかるんだ……私の考え過ぎかもしれないけどね」
「大衆への影響を大きくするためではないでしょうか。現に都民は浮き足立っています」
「どうだろう。予告っていうのは達成すれば確かに効果はあるけど、達成できなければ逆に評価が下がる。今回ほど厳しい条件を、しかも突然選ぶ理由が見当たらない」
「では……マイザー候を狙うというのは偽の情報で、真の狙いが別にあるのでは」
「うん、強いて言うならそっちの線が有力だとは思うんだ。思うんだけど……どうも何か腑に落ちないんだよねえ……」
どこか納得がいかない、そんな表情だ。が、ここで俺たちが話し込んでいても埒が開かない。
お互いに予定もあるので、軽く挨拶をして別れた。

オーベルの自室は、さすがに豪奢な造りになっていた。普段生活している館が簡素なこともあって、高価そうな調度品に囲まれたオーベルというのはどうも妙な感じだ。
それは本人も感じているらしく、今ひとつ落ち着かないと苦笑いを浮かべた。
「大分騒ぎになっているようですね」
「それはそうだろう。何しろ皇族が狙われているのだ……で、実際に狙われている物は?」
「こちらに」
ベッドの上を指差す。無造作に投げ置かれている、一本の杖がそこにあった。
足の代わりにする為のものではなく、あくまでも儀礼目的に使われる種類のものだ。全体は銀色に輝き、先端は翼を広げた鷲の意匠が施されている。
「皇族の男子は皆、成人の折に自分の杖を作るのが慣わしです。これは私の専用ということになります」
「盗まれでもしたら大変だな」
「ええ、大変です」
皇都を騒がす怪盗から予告があったというのに、それを楽しんでいるかのような笑顔だ。
暢気な会話をしている俺たちの間に、アンネローゼが割って入った。
「オーベル様、当日は私もお傍に控えます。決して賊の思い通りにはさせません」
「ありがとう、アンネローゼ。だけどね、君には別のことを頼みたい」
「なっ……私では力不足だと……?」
「いやいや、そういうことじゃない」
しょげ返ってしまったアンネローゼに、慌ててオーベルが続ける。
「むしろこれは、君にしか頼めない。逆に騎士団長たちにこそ頼めないんだ」
「……一体、何をお考えなのです?」
「ふふふ。それは発案者に聞いた方がいいだろうね」
心底楽しそうなオーベルの視線と、訝しむアンネローゼの視線が、俺を捉えた。

主会場である中央広場を中心に、凄まじい規模の喧騒が広がっている。
昨日までも確かに賑やかではあったが、祭りの初日である今日のそれは比べ物にならない。
さすがは年に二度しかないという大祭だ。
「よもやこれほどの賑わいとはな。正直、甘く見ていた」
「短い夏の訪れです。歌い、踊り、楽しまねばあっという間に夏は終わってしまいます」
「良い事だ。しかし、それにしてもこの人出は異様だな……はぐれでもしたら会えんぞ」
俺と行動を共にしているのはアンネローゼ、アルマ、シャーリー。
もう少ししてからテレーズ、ウィル、メルが合流する予定になっている。
アルマとシャーリーも今日は普段のメイド服ではなく私服を着ており、一見すると他の観光客と見分けがつかない。
「心配はございませんでしょう。はぐれた際の集合場所は決まっております」
「何?俺は聞いていないぞ、アルマ」
「それは皆様が集まられてから申し上げます」
どうせまた何か良からぬことを企んでいるのだろう。
「あ、テレーズさんたちが来ました!」
シャーリーが控えめに手を振る。それに応えてやはり手を振りながらやって来るのは、金髪のおさげの少女だ。すぐ隣には黄色い頭の少年、数歩遅れて柔和な笑みを浮かべた女性。
「遅れちゃってごめんなさい。出掛けにウィルが、ハンカチがないって騒ぎ出して」
「何言ってるの、僕が探してたのはメルのハンカチだよ……」
「え、そうだったの?そういえば私のハンカチがないわ」
「そりゃあ僕が持ってるもの」
ヤキモチ焼きで不器用な上に抜けているときたか。ウィルも色々と大変なことだ。
「皆さん、お早うございます。今年も晴天に恵まれそうですわね……それにしても、いつもより人が多いように思えるわ」
「確かに。今年は気温も高くなっていますし、賑やかです」
「はぐれてしまったら大変ですね。ウィルさんとメルさんも気をつけてくださいね?」
「シャーリー、心配するのはウィルだけで充分よ。いっつも抜けてるんだから……ちょっとウィル、今ため息ついたでしょう!」
「き、気のせいだよ……」
どうやら三人とも仲良くなったらしい。年も近いし、良い事だ。
と、咳払いを一つしてアルマが話し始めた。
「宜しいですか、皆様。本日はご覧のとおり、大変に人が出ております」
まるで引率の教師のようだ。が、俺を除けば一番年上なのはアルマ。この役どころは順当かもしれない。
「ですので、はぐれた際の最終的な合流地点を設定いたします……宮殿の南門から少し東に行った所に一軒だけある、赤レンガの小屋の前です」
「南門ではいけないんですか?そっちの方が分かりやすいと思うんですが」
ウィルの疑問はもっともだが、そうしないのには理由がある。
「分かりやす過ぎるのが問題なのだ。同じように考える連中も、名所を巡る観光客もいる。その中で合流するのは面倒だろう」
「なるほど……確かにそうですね」
「見つけやすく、且つ知られていない場所として設定いたしました。ですがそこは最終的な合流地点です。はぐれた、と思ったらまずは……」
丸い眼鏡がキラリと光った。
「周囲にシュツルム様がいらっしゃるかどうかをお探しください」
やれやれ。

テーマ:栗鼠ゲーム - ジャンル:オンラインゲーム

  1. 2008/09/13(土) 20:12:41|
  2. 偽島の裏
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