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不定期更新な日記だったり定期更新ゲーム『False Island』の日記だったり。 気分次第で更新、今日もいい日。

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Blackwind's Police Blotter 6-2 -Boy & Girl-

皇都夏祝祭。年に二度、デーツ皇国の皇都・ワールッツで行われる、国内最大規模の祭りの一つである。
寒冷地帯であるデーツは夏が短く、気温自体もあまり上がらない。それでも厳しい冬に比べれば暑く、やはり人々の心は躍る。
春の花々が散って、雪も山の頂上の万年雪を残すだけとなった頃に夏の到来を祝うのがこの祭りで、夏の大祭とも言われる。
ちなみに冬の大祭はその年最後の日に行われる皇都冬祝祭(おうととうしゅくさい)で、こちらは新年を祝う祭りにそのまま繋がる。
夏を迎える祭りに備えて賑わう皇都だが、その中でもやはり静かな場所というのはある。
例えばこの皇立図書館だ。訪れる人は少なくはないが、建物の性質上、中で騒いだりすることはできない。
静かに調べ物をするにはもってこいだ。
「しかし……膨大な蔵書だな」
無数に並ぶ書棚、そこに納められた無数の本。
「ここに並んでいるのは約三十万冊です。新たに建設中の二号館はここよりも大きなものになります」
思わずこぼれた俺の呟きを受けて、傍らのアンネローゼが応じる。



「しかし、突然『調べ物がしたい』とは。どうしたことですか?」
「少し気になったことがあってな。昨今の『怪盗』騒ぎのことだ」
バルバロッサとブリュンヒルトは、デーツに伝わる伝説に登場する人物だ。手がかり云々はともかく、その伝説とやらに興味がある。
もっとも、アルマには嫌な顔をされたが。
『夏と冬の大祭は建国以来、一度として好天に恵まれなかった日はないのです。その伝統を崩すようなことはお止めくださいませ』
メイドの言葉とは思えない。俺が調べ物というのはそんなに意外なことか。
「『赤髭』と『白姫』に関すること……となると、伝説そのものをお調べになりたいと?」
「うむ。話が早くて実に助かる。しかし一体どこの棚に行けばいいのか……」
「あら?シュツルムさんにアンネローゼさん」
名を呼ばれて声のした方を向いてみると、何冊かの本を抱えた修道女が立っていた。
シスター・キリアだ。
「珍しい所でお会いしますね。どうなさったのですか?」
「少々調べたいことがあってな。そういうキリアは何故ここに?」
「私は孤児院の子供たち用の本を借りに参りました。いつも同じ本では子供たちも可哀想ですから」
持っていた本は童話や絵本、簡単な小説だった。いずれも勇者や正義の味方が出てくる話だ。
「子供が好むのは英雄譚が多いか」
「ええ。やはりそういう存在には皆憧れますから……ところで、調べ物とは何を?」
「『赤髭』と『白姫』についてだ。俺はその伝説をよく知らんのでな」
キリアの理性的な眉が微かに歪んだ。が、それは一瞬のことで、すぐにいつもの穏やかな表情に戻っていた。
「伝説ですか。伝説や神話でしたらこちらの棚ですね……」
館内には詳しいようで、先に立って案内してくれる。ありがたいことだ。
連れて行かれた棚には大小様々な本が並んでおり、単に伝説を羅列したものから考察本まで内容も幅広い。
ここの棚だけで一日潰せそうだった。
「あの二人が出てくる伝説といえば『柊宮伝説』ですね。この辺りが詳しいですよ」
渡された本はいくつかの伝説や神話を、解説を含みながら物語として読みやすくしてあるものだった。
入りとしては絵本程度でも構わないと思っていたが、これはいい。
「助かる、キリア。足を止めさせて済まなかった」
「いえ、お役に立てれば幸いです。では私はこれで……アンネローゼさんも、またいずれ」
軽い会釈をして別れる。渡された本を抱えて席に着くと、アンネローゼも向かいに座った。
「さて、まずは読んでみるとしよう。アンネローゼは知っているのか?」
「物語の大筋は存じておりますが、細かい部分はあまり」
「今日は静かに読書というのはどうだ?幸い同じ本が二冊あるが」
「異存はありません。私も久し振りに読んでみたいと思っておりました」
そう言うと、アンネローゼは懐から眼鏡を取り出した。本を読む時だけ、この縁のない薄い眼鏡を使うのだ。
取り出して広げ、静かにかける。淀みない一連の動作を見ていたら、訝しげに睨まれた。
「……似合わないことは承知していますが、あまりじっと見られるのはいかがなものかと」
「いや、似合わないとは思わんが。より理知的だと思ってな」
「たかが眼鏡ひとつです。そのように単純なものではないでしょう」
「試してみれば分かる」
手を伸ばしてアンネローゼのかけている眼鏡を取り、自分でかけてみる。真円に近いレンズは度があまり入っていない。あくまでも補助用なのだろう。
「どうだ。俺でも少しは知性的に見えぬか?」
「……」
いかん、思ったより焦点の調整が難しい……アンネローゼの顔がよく見えん。呆れているのか怒っているのか。
「お戯れはお止めください」
眼鏡を取り返されてしまった。その手が少し震えていたように感じたのは、俺の気のせいだろうか?

『柊宮伝説』――何処からともなく来て、何処へとも知れず旅を続ける堂々たる体躯の偉丈夫・バルバロッサ。
温厚な気性の持ち主で、炎のような赤い髭をたくわえていた。ゆえに『赤髭』。
その妻、ブリュンヒルトは夫の傍らに常に控え、新雪のような輝く白い髪と肌をしていた。ゆえに『白姫』。
二人は純銀の毛並みを持つ狼と一人の侍女を伴って放浪の旅を続ける。
その目的は、この世界のどこかにあるという憂いのない地。
深く黒き森を統べる虎の王や、青き豹の姉妹といった出会いと別れを経て、彼らは柊の樹に守られた宮殿に辿り着く。
その地で一族をなし、今もどこかで彼らは幸せに暮らしている――これが『柊宮伝説』の概要である。

「ふむ……」
読み物としては可もなく不可もなく、といったところだろう。話そのものは長くはなく、登場人物も少ない。
伝説とは言っているが難しいくだりも見当たらない。どちらかといえば『めでたしめでたし』で終わる童話のようだ。
怪盗の二人は、何を思ってこの伝説から名を拝借したのだろうか。
たまたま目に付いただけであれば、この伝説から犯人の手がかりを追うのは不可能だ。
本を閉じ、眼鏡を外したアンネローゼに声をかける。
「どう見る?」
「知名度は高いですが、やはり内容に何か隠されているとは思えません。理由があってここから名を取ったとすれば、余人には分からない理由ではないかと」
「同意見だ。あまり手がかりにはならなそうだな……だが、一応借りていくとしよう」
本の貸し出しは、皇都民に発行される登録証を持っていれば誰でも受けられる。俺はともかくアンネローゼはれっきとした皇都民なので、何の問題もなく借りられた。
静かだった空間から外に出ると、一気に喧騒が身を包む。商店区からは少し外れた地域であるはずのここでも、夏祝祭を待ち望む空気が伝わってくる。
そういえば最近は気温も上がってきた。俺にとってはまだ涼しいと感じる程度だが、街を行く人々は既に暑いようだ。
隣を歩くアンネローゼもいつの間にか外套を着なくなったし、先日非番のガートルードは半袖だった。
「賑やかだな。この辺りはもう少し静かだったと思ったが」
「今の時期は別です。夏祝祭と冬祝祭の前後だけ臨時に開く宿泊施設がありますが、この地区はそれが多く集まっております」
「国外からも観光客が来るのだったな」
「はい。人が集まる場所には店も多く集まります。店が集まれば、また人が集まります」
「道理だな……おっと」
「わあっ!」
恐らくは止まりきれなかったのだろう、細い路地から小さな影がぶつかってきた。咄嗟に片手を上げてアンネローゼを制する。
その手は既に腰の剣の柄にかかっており、止めなければ抜剣していただろう。
「案ずるな。ただの子供のようだ」
フードを被った影は俺にぶつかったはいいものの、逆に後ろに跳ね返って転んでいた。
「大丈夫か?済まんな、こちらも話しながら歩いていたのでな」
「いえ、僕の方こそ……あれ、もしかして」
聞き覚えのある少年の声。
フードを取ると、ヒヨコのような黄色の髪が現れる。
「やっぱり、シュツルムさん!」
「おお、ウィルか」
皇帝直轄領侵入事件の時に関わった、あのウィルであった。
アンネローゼとは直接話してはいないので名乗らせると、お互いに『ああ、あの時の』という感じで思い出したようだった。
「元気にしていたようだな。今の体当たりはなかなか効いたぞ」
「うっ……す、済みません……」
「いや、気にしなくていい。しかし何をそんなに急いでいるのだ?」
「それが……シュツルムさんは、メルを覚えてますか?」
メル。確かネルトリングに住んでいる、ウィルが想いを寄せている少女だったはずだ。
「今度の夏祝祭を見に、二人で来たんですけど……」
「はぐれてしまった、と?」
「いえ、はぐれたというか……何だか怒らせてしまったみたいで」
「ふむ。話が今ひとつ見えぬが、メルが怒って勝手にどこかに行ってしまったということか?」
返答は、力のないため息だった。
理由は分からないが、今この時もメルが一人でどこかにいるのは事実。
比較的治安のいい皇都とはいえ、昨今は夏祝祭もあって人が増えている。よからぬ企みを持つ者に会っていないとも限らない。
「急いで探したほうが良いでしょう。ウィル、彼女を見失ったのはどのあたりなの?」
「向こうの大通りの端です。十分ぐらい前です」
「通りの裏側は私が。シュツルム殿は彼と一緒に表をお願いいたします」
「うむ。メルはどんな格好をしている?」
「僕と同じような旅装ですけど、まだ買ったばかりで僕のみたいには汚れてません。あと、髪を左右で結んでおさげにしてます……テレーズさんみたいな金髪です」
前に会った時と同じらしい。外見的特徴は新品の旅装に金髪のおさげ。
アンネローゼと頷き合い、一旦別れて捜査にあたる。
通りの表側はそれなりに人が出ており、子供一人を探すのは少々骨だ。
「真っ直ぐに追いかけてきたのか?」
「はい。人ごみに紛れてしまって、それで見失っちゃいました」
「で、メルはどうして怒ったのだ」
そう聞くと、ウィルは困ってしまった。
「分からないんです。宿に行く前に、テレーズさんの所に挨拶に行こうって言ったら急に怒り出してしまって……」
なんとなく原因は分かった。
好きな相手が別の女性の名を出したことで、ヤキモチを焼いたのだろう。
「ウィル。少々荒っぽい手を使うが構わんか?」
好きな相手に意地悪をして困らせる性格。逆にそこを突く。
「ええと……はい。メルが見つかるなら」
「よし」
ひょい、とウィルを持ち上げてやる。いつかもやった肩車だ。
「あ、あの……」
「どうした、メルを探すのだろう?名を呼んでやれ」
少しもじもじとしていたが、意を決してウィルは大声を出した。
「メル―――!メ――ル―――!」
通りを行き交う人々が何事かと一斉にこちらを向く。
天下の往来のど真ん中で大男に肩車される少年。まあ珍しいと言えるかもしれない。
「シュツルムさん、これ恥ずかしいんですけど……」
「荒っぽいと言ったろう。何、すぐに終わる。もう一度だ」
「……メル―――!メ――ル―――!」
「ちょっと何やってるのよ!止めなさいよバカ!」
後ろから怒鳴り声が聞こえた。振り返ると、金髪おさげの少女が肩を怒らせて立っていた。
恐らく予想を超えて大きな騒ぎになったことで、姿を現さざるを得なくなったのだろう。
「メル!どこに行ってたの、心配したよ」
「うるさいわね、いいからさっさと降りてきなさいよ!」
ひょい、とウィルを降ろしてやる。その鼻先に、メルが指を突きつけた。
「こんな人の多いところで名前呼ばないでよ!恥ずかしいじゃない!」
「だ、だってメルがいなくなっちゃうから……」
「すぐに追いついてきなさいよ!」
「そんなこと言っても、人が多くて……」
「なに?じゃあウィルは、私が一人でいる間に人攫いに連れて行かれてもいいって言うのね?」
「そ、そんなこと言ってないよ!」
「だったらちゃんと私の傍にいるの!」
これでは埒が開かない。理屈はともかく、力関係は明らかにメルの方が上だ。
ウィルの方が背は高いが、小柄なメルに圧倒されている。
「まあ、怒るのはその辺にしておけ。見つけてくれるのを待って、後ろからウィルを見ていたのだろう?」
メルの動きが止まった。ふむ、やはりそうだったか。
「……なんで、そんなこと……っていうかウィル、この人誰よ?」
「シュツルムさんだよ。ほら、前に僕を送ってきてくれたじゃないか」
「そういえば……思い出したわ、ウィルが散々迷惑をかけた人でしょう?」
「う……うん……」
「もう、本当にあんたは私がいないとダメなんだから!これからは私の傍を離れないこと。いいわね?」
「わ、分かったよ」
理論は完全に破綻している。が、それを堂々と押し切るあたりは小気味よくさえある。
この先ウィルは苦労することになるだろう。
「とりあえず再会できたのだから良しとしようではないか。アンネローゼを見つけて、それから宿まで送ろう」
「アンネローゼ?……って誰なの?」
怪訝そうな顔をしている。再び機嫌を損ねられてはたまらない。先手を打っておこう。
「俺のお目付け役だ。心配はいらんぞ、メル」
「べ、別になんの心配もしてないわよ!」
「?」
ウィル一人だけが、首を傾げていた。

テーマ:栗鼠ゲーム - ジャンル:オンラインゲーム

  1. 2008/09/13(土) 20:05:04|
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