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今日もいい日

不定期更新な日記だったり定期更新ゲーム『False Island』の日記だったり。 気分次第で更新、今日もいい日。

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「……ここでその名を聞くことになるとは思わなかったな」
「ぬっふっふ。あれはなかなか面白い男じゃったわ……おんしにちぃと似とったなあ」
虎は奇妙なことを言い出した。



「俺とクラウスが?……いや、俺の記憶にあるクラウスと今の俺は似ても似つかんはずだが」
「見た感じのこっちゃないわな。本質っちゅう部分じゃあ」
「本質……?」
「あの石っころ拾って、誰でもここに来れるかっちゅうたら、んーな事ぁない。魂の向いとぉ方向が似とる奴しか来れんのよ」
「で、俺の魂はどこを向いているというのだ?」
「簡単じゃあ。おんし、どっこも向いとりゃせんが」
俺の魂が、どこも向いていない。それは一体どういうことなのか。
「昔に何ぞ嫌ぁな事があったんじゃろ。おんしゃあ、それっきりふらふらしっ放しじゃろ」
「……そうだな。確かに、根無し草だ」
「魂の作りっちゅうんは、生き方に出るもんよ……ま、どっこも向いとらんちゅうことは……」
「逆に言えば、どっちを向いても前になる」
再び、虎が喉を鳴らした。
「おんし、ええのお……クラウスと同じこと言いよるわ」
「一つの方向しか見ないというのは性に合わん。向きたくなった時に向きたくなった方を向くのが俺の生き方だ」
「それでええんじゃあ。おんしの基本は風じゃからのお」
「風?確かに俺の姓には風を意味する言葉が入っているが……」
「ま、元々おんしの一族はそういう性質なんじゃろ。良く言うたら自由、悪く言うたら我儘ちゅうことよ」
そう言われれば思い当たる節がないではない。
父親も世間の細かいしがらみを面倒くさがり、母親によくたしなめられていた。
「ここに来れる奴はそう多くないわ。言うたよぉに魂の問題、あとは『餓え』じゃあ」
「『餓え』……?俺が何に餓えているというのだ」
「自分でよう考えてみい。おんし、欲しいもんがあるじゃろ。そうでなきゃあ、ここにゃ来れんぞや」
俺が欲しているもの。今の俺に足りないもの。
「あの石っころはのお、要は『宝』じゃ。儂等みとぉな神は、みぃんな自分の魂の欠片をおんし等の世界に置いとる。見つけてここまで来れた奴にゃあ、それなりに与えてやれるもんもある」
「俺が気付いていないだけで、望んでいることがあると言うのか?」
「そうよ。ま、よう考えてみれ」
俺の望み。今俺が欲しいものと言えば、力かもしれない。叶うなら、若い頃のあの力を取り戻したい。
オスカーとの対峙は早晩実現するだろう。その時に今の実力では、恐らく勝ち目はない。
だが仮にそれが叶ったとして、それが本当に俺の望みなのだろうか。
いや、望んではいる。だが、『餓え』というほど強いものではない。
俺の『餓え』。それは――
「俺の――」
恐れに起因するもの。今の俺には、離れたくない存在がいる。
「命を、伸ばすことはできるか?」
「ほお。できん事ぁないが、何でまた長生きしたいんじゃ」
「この年になってようやく添い遂げる相手を見つけてな。ところがこの相手というのが、竜の血が入っている」
「そりゃ珍しいのぉ。なるほど、そうなるとおんしとその相手は命の長さがまるで違うわけじゃ」
「しかも俺の残りの人生など高が知れている」
例え伸びるのが僅かな時間だとしても、俺はその時間を共に生きたい。
それが、俺の『餓え』。
「良かろ。ちっと手間じゃが、おんしの命は伸ばしたる。けんど、どんだけ伸びるかはやってみにゃあ分ぁらんぞ」
「それでも構わん……ああ、それとな。クラウスは、お前に何を望んだのだ?」
「ああ……あいつは変わっとった。『自分と同じような人間に出会ったら、分かるようにしてほしい』っちゅうてな」
「どういうことだ?」
「よう知らんが、あいつもそれなりに色々あったんじゃろ。自分みとぉに荒れとったもんを何とかしてやりたい、とか言うとったか。ま、おんしはクラウスが見つけた、クラウスによぉ似た奴じゃったんよ」
虎の目が、昔を懐かしむように宙を彷徨った。
そして俺は理解した。クラウスがあの石を探せと言ったのは、彼の最後の導きだったのだと。
今際の際の約束をもってなお、彼は俺を導いてくれたのだと。
「昔はクラウスも荒れとったそうじゃあ。それを正してくれた奴がおって、そいつもやっぱり荒れとったんを誰かに正されたんじゃと」
これが。
これがクラウスの教えだった。
「さぁて、おんしの望みも聞いた。ま、内容が内容じゃからまた後で会わにゃならんが、とりあえずはもう帰りや」
「ふむ、分かった。俺が何かする必要はあるのか?」
「ないのぉ。ま、でーんと構えとれ」
虎がそう言うと、不意に周囲の景色が歪み始めた。
陽炎に包まれたように揺らめき、その揺れ幅が少しずつ大きくなる。
「んじゃ、またの。黒風」
「俺の名を知ってるのか」
「本名まで知っとるわい」
「待て。俺はお前の名を知らん」
既に視界は定まらず、虎の姿も背景に溶けてしまっている。
「トウコツ。儂の名は、トウコツっちゅうんじゃあ……」
その声を最後に、俺の意識は途絶えた。

テーマ:栗鼠ゲーム - ジャンル:オンラインゲーム

  1. 2008/07/03(木) 02:06:53|
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False IslandのE.No412 Blackwind。
中の人はヘビーメタルと刀を愛する超甘党。

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