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不定期更新な日記だったり定期更新ゲーム『False Island』の日記だったり。 気分次第で更新、今日もいい日。

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Promise from master

オスカー・フォン・ローエンデル。
三年前まで、この名は尊敬の念と共にデーツ皇国中に知れ渡っていた。
文武に秀で、且つ平民たちとも対等に接する騎士だった。



所属は皇国機動騎士団。皇国親衛騎士団と並ぶ精鋭部隊だ。
親衛騎士団の活動地は主に皇都とその周辺、加えて皇帝の直轄領だが、機動騎士団はそれ以外の全土を活動地とする。
逃亡中の凶悪犯の捜査や、現地の騎士団では手に負えない規模の魔物の討伐が主な任務だ。
オスカーは若年ながら優れた知勇を買われ、二部隊を指揮する立場にあった。
恐れ入るのは、その立場にありながら自ら率先して現場に立つことだ。
通常、部隊長というのはあまり前線には出ない。指揮官の居場所が分からなくなれば、いざという時に指示を仰げないからだ。
オスカーの優れていた点は、後詰の部隊が混乱しないだけの綿密な作戦を常に立てていたことだろう。
自分が不在であっても策の通りに動きさえすれば大丈夫という、自信と実力に溢れた指揮官。
いずれは史上最年少で機動騎士団長の地位を得るのではないか、との噂もあった。
オスカー・フォン・ローエンデルとはそのような優れた騎士だった。

そのオスカーの、あまり良くない噂が広まるようになったのは、彼が三部隊の長になってからだ。
市井の噂話に疎かった俺の耳には大分後になってから届いたが、同一人物に対する噂とは俄かに信じがたいものだった。
曰く、以前は殆ど飲まなかった酒を浴びるように飲んでいる。
曰く、訓練の折に血走った目で剣を振るっている。
曰く、とにかく粗暴な振る舞いが目立つ――等々。
普段の行いが優れている者に立つような噂ではない。ガートルードから聞いた時は、昇進による精神的な重圧ではないかと思っていた。
が、噂を重く見た査問官を斬って逃亡したというのは尋常ではない。
収監されていた凶悪犯十数名を伴い、魔術研究院に保管されていた太古の魔導具を強奪して、オスカーは逃亡した。
『左利きの雷神』は、デーツでは忌むべき名となってしまったのだ。

あの当時でさえ、オスカーの剣技は恐るべきものだった。状況だけ見れば俺が奴を倒したという形になるのだろうが、実質は引き分けに近い。
ガートルードやテレーズの見立てによれば、剣にせよ魔法にせよ三年前より腕を上げているという。
今もう一度闘えば、果たしてどうなるか――既に俺は六十近い。
いかに鍛錬を重ねようと、最大の敵である『老い』からは逃れられない。
体力や速さ、純粋な力。同年代の連中に比べればそれなりではあるが、技で誤魔化している部分もある。
若い頃の無限とも思えた力は、もうどこにも見当たらない。
日一日と俺は老いていく。少しずつ、力を落としていく。いつまで闘い続けることができるだろうか。
そしていつまで生きていられるだろうか。

だが――人生とは、思わぬ時に思わぬ出来事に遭遇するものだ。
およそ四十年越しの約束を、果たすことができた。かつて師と仰いだ、ある男――クラウス。
荒んでいた俺に生き方を説き、様々な武術を教えてくれた男は、既にこの世にはいない。
だが、彼との別れ際に俺は一つ約束をした。
彼が探し続けていた。ある物を見つけ出すと。
本当にそれが存在するなら、必ず俺が見つける。そう約束して、もう四十年近くが経っていた。
世界の様々な場所を旅して、似たような物は多く見た。だが、彼が探していた物ではなかった。
それが、見つかった。
掌におさまるぐらいの、黒い金剛石。如何なる者の手によってか、それは完全な球体だった。
その内部に、煌々と輝く赤い光。遺跡のかなり奥地で淡く発光する壁を壊したところ、こいつが転がってきたのだ。
覗き込むと、風に煽られる炎のように光がゆらめく。
約束は果たせたが、しかし分からないことはある。何故、クラウスはこれを探していたのだろう。
たしかに非常に珍しいものだし、大きさを考えれば宝石に転用しても相当な価値がありそうだ。
だが、クラウスという男は金銭には執着していなかった。仕事の報酬は最低限しか求めず、装飾品の類も身に着けていなかった。
その彼が何故、いくら希少とはいえこの金剛石を捜し求めていたのか。
その理由を尋ねた時、彼は『見つければ分かる』としか言わなかった。
手の中で輝く光は時に強く、時に弱く。渦を巻くような仕草を見せ、踊るように不規則にゆらめいている。
この石を見つけて、クラウスはどうしたかったのか。
まだ、約束を果たし終えてはいない――漠然と、そう感じた。

テーマ:栗鼠ゲーム - ジャンル:オンラインゲーム

  1. 2008/07/03(木) 01:58:50|
  2. 偽島本編
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