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今日もいい日

不定期更新な日記だったり定期更新ゲーム『False Island』の日記だったり。 気分次第で更新、今日もいい日。

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目を覚ました時、テントの中には俺だけしかいなかった。
空虚な腕の中に微かに残っていた暖かさが、逆にその事実を強く突きつけてくる。
「カレン……」
口をついて出た名前。俺のテントから出て、向かう先といえばどこか?
恐らくは自分の野営地に戻るはずだ。傷が完全に治りきっていない状態で、闇雲に島内をうろつくとは思えない。
そう、傷――

『来ないで!』

「――くッ!」
胸の内側に鈍い痛みが走った。



上着を引っ掴み、袖を通すのももどかしく外へ飛び出した。
陽はまだ昇っておらず、薄暗い中を鳥たちの鳴き声が駆け抜ける。
群れを成して飛んでいくその声は、どこか薄ら寒いものを感じさせた。
カレンは、テントを出たばかりだった。まだ俺の視界に入っているのだ。
しかし俺は、声をかけるのを躊躇った。
右腕と右足には、包帯が巻かれている。あれは俺が手当てしたものではない。
ということは、カレンが自分で施したということだ。どうあっても、傷を覆っていたあの鱗を見せたくないのだろう。
だからこそカレンも、何も言わずにテントを出たはずだ。
それを考えると声をかけるのは憚られた。
このまま回れ右をして、テントに戻った方がいいのかもしれない――そう思った時、前を歩くカレンの体がぐらりと揺れた。
倒れる、と思ったが辛うじて踏みとどまっている。
安心したが、安心できない。やはりこのまま放っておくわけにはいかない。
後ろから近付き、驚かせないように声をかける。
「そんなに頼りない足取りで帰るつもりか?」
ピタリ、とカレンの足が止まった。
ゆっくりとこちらを振り返った表情には、怯えにも似た色が見て取れる。それがまた、胸の内側に鈍く響く。
だが、今はそれを気にしている時ではない。
最優先事項はカレンを安全に帰すことなのだ。
「無鉄砲で無理ばかりするのは、ニオさんにそっくりだ。……野営地まで送って行こう。一人で帰すのは少し心配だからな」
当たり障りのない言葉を選び、隣に並ぶ。
努めてカレンの表情や傷には目を向けないように。
ゆっくりとした足取りで、連れ立って歩く。
道中は、乾いた会話――砂を噛むような、味気ない話しかできなかった。
昨日の試合の話や、剣技に関する話。今後の参考になればと、過去にシュラと立ち会った時の話もした。
俺自身はいつもと変わらずに話をしていた、と思う。
無論カレンもそうだった。受け答えははっきりしているし、口調にも変わったところはない。
だが、お互いに無理をしていることは分かりきっていた。
お互いに、一番触れなければならないであろう部分には決して触れない。
隠しながら、それでも意識せざるを得ないのだ。
ただ沈黙という苦痛を埋めんがための会話。続けても何も生み出さないと知りつつ、話を止めてしまうことが怖い。
当たり障りのない話を続け、当たり障りなく野営地に着き、当たり障りなく別れ、俺はテントに戻った。

今後、俺はカレンとどう接すればいいのだろう。自分の中にある制御しがたい感情――持て余しているこの感情だけでも手一杯だったのだ。
それに倍する勢いを持って、今回の件が重く圧し掛かる。
カレンが幼い頃から接してきたが、これほどに頭を悩ませたことはなかった。
俺自身は、今後も今までと何ら変わらずにいたいと思っている。
だが、カレンはどうなのか。最悪の場合、あらゆる接触を絶ってくることも有り得る。
それを避けるためなら、接し方を変えた方がいいのだろうか?
いや、カレンはそういった小細工など見抜いてくるだろう。行き着く先は一緒だ。
自分の尾を追う犬のように、考えは堂々巡りを繰り返す。

何時間そうしていただろうか。テントの中は煙草の煙で白く染まっている。
換気をしなければならない。俺も外の空気を吸いたくなった。
布をまくって外に出ると、入り口の前に置いてある一通の手紙が目に付いた。
手にとって裏返す。
差出人は。

「……」
カレン。
呼びたいはずのその名を呼ぶことが、できなかった。


テーマ:栗鼠ゲーム - ジャンル:オンラインゲーム

  1. 2008/05/07(水) 19:29:45|
  2. 偽島本編
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