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今日もいい日

不定期更新な日記だったり定期更新ゲーム『False Island』の日記だったり。 気分次第で更新、今日もいい日。

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You made my sister cry

陽は厚い雲に隠されていた。
時間的には昼を少し過ぎたばかりだが、森の中は薄暗ささえ感じさせる。
黒風は煙草に火を着けると、煙を溜めて深く吐き出した。
ガートルードに、どうしても来てもらわなければ困ると言われたのだ。
今アンネローゼに会うことは憚られると答えたのだが、会わせたい相手はアンネローゼではないらしい。



加えて半分泣きそうな顔で懇願されては、さすがに嫌とは言えなかった。
場所だけを伝え、まるで戦場を駆けるようにきびきびと立ち去るガートルードにどこか恐怖の影を感じはしたが、是とした以上行くしかない。
一体誰が、という点を考えながら、黒風は煙草をくわえた。
テレーズであれば直接自分で来るだろうから、彼女の線はない。
さらにアンネローゼでもないとなると、誰が自分を呼び出したのかまったく分からない。
島内で彼女たちと交流している者が他にいるのかもしれないが、三人の野営地ではそういう者を見かけたことはなかった。
手がかりといえばガートルードの態度ぐらいか。
目的を果たさなければいけないという使命感さえ感じさせるほどの必死さ、一刻を争うといわんばかりのきびきびとした動作。
彼女をああも駆り立てさせる者とは、どんな人物だろう。

「久しいな」

後ろから投げられたその声に、聞き覚えがあった。
声を聞いた瞬間、ガートルードがあれほど必死だった理由も分かった。
なるほど彼女が相手では仕方ない。
振り返ると、丸い眼鏡の奥から青い瞳が黒風を見ていた。
皇都警備隊副長のグリューネワルト。
黒風がデーツ皇国に滞在した時、彼女とも若干の交流があった。
当時と変わらぬ、くせのある青く長い髪は、アンネローゼのそれと同じ色だった。

「卿まで来たのか。オーベルも思い切ったことをするものだ」
「色々と困ったことになっているのでな。私も貴殿がいるとは知らなかった」
「困ったこととは?」
「本国での地道な調査の結果、現状あの三人では、勅命を果たすのが難しいとの判断が下った」
「戦力的には充分すぎると思うがな」
「それがそうでもないのだ……まあ、この話はいずれするとしよう。今はそれより大事な話がある」

理知的な瞳が細められ、剃刀の刃のような鋭さを見せる。
冷たいその視線は、黒風が動くことを許さない。
グリューネワルトが歩を踏み出し、ゆっくりと近付いてくる。

「ある程度、現在の状況は聞いている。貴殿、妻を娶るそうだな」
「……うむ」
「めでたいことだ。実に喜ばしい」

言うが早いか、グリューネワルトが腰の剣を抜き放った。
軌道が見えたか見えぬかという内に、刃が黒風の首筋でぴたりと止まっていた。

「……随分な祝いではないか」
「三年前、私は貴殿に一つ頼みごとをした。覚えているか?」
「アンネローゼを見ていてやってくれ。そう言われたな」
「ふむ。まだ耄碌してはいないようだ」

キン、と音を立てて剣が鞘に収められる。
しかしその冷たい視線だけは、いまだ黒風を捉えたままだ。

「勘違いしないでほしい。貴殿が妻を娶る、それ自体はめでたいことだ」
「……本当にそう思っているようには見えんぞ」
「そう思っている。しかしな、私とて人間だ。割り切れないことはある」
「……済まん。約束を」
「破った、というのではない。私が貴殿に頼んだのは、アンネローゼの力になってほしいということだ。その約束を違えたとは思わない……誰を娶るのも貴殿の自由だ。だが、それでも私の中で許せないことがある。理屈ではなく、どうしようもなくうねる感情がある」

さらに一歩近付いたグリューネワルトの右手が動いた。
乾いた音が響いたのを耳で聞いた後、右の頬にゆっくりと鈍い痛みが訪れた。
手の甲でしたたかに打たれていた。

「よくも、私の妹を泣かせてくれたな」
「……弁解の言葉もない」
「首の一つも刎ねてやりたいところだが、それこそアンネローゼが泣く。この場はこれで治めよう」

グリューネワルトが顔をしかめて右手を押さえた。

「どういう鍛え方をしているのだ……どうせ貴殿は大して痛くもないのだろう」
「いや……」

確かに頬の痛みは大したことはなかった。
だが、叩かれた箇所だけが痛むわけではない。
肉体は肉体を、想いは想いを打つのだ。

「……私も勅命のもとに来ている。ニーダマイヤーたちと行動することになるだろう」

身を翻して、グリューネワルトが歩き始めた。

「会えるようになればビットフェルトを使いに出す。その時は来てもらうぞ」

返事も待たず去っていくその背に、黒風は侵すことのできない深い愛情を見た。
かつて『絶対氷壁』と讃えられた姉の、妹を想う深く熱い愛情を。

テーマ:栗鼠ゲーム - ジャンル:オンラインゲーム

  1. 2009/02/22(日) 00:47:10|
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