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不定期更新な日記だったり定期更新ゲーム『False Island』の日記だったり。 気分次第で更新、今日もいい日。

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Not Sweet

カレンの痛烈な平手打ちを頬に受けて、黒いアンネローゼは僅かによろめいた。
それでも倒れることはなく、口の端から伝う一筋の血を手の甲で拭うと、静かに剣を鞘に収めた。

「気が変わりました。どのような形であれ、貴女を生かしておくわけにはいきません」



「…………」
「その傷でしばらくは動けないでしょう。復調した時、改めて貴女を殺し、黒風殿を私の物にいたします」

荒い息をつくカレンと数秒の間視線を交わした後、未だ地に突っ伏して泣いているアンネローゼを見やった。

「私を、あそこで泣いている弱い者と同じに考えないことです。私は彼女のように弱くも、脆くも、甘くもない……またお会いしましょう」

そう言い捨てて、黒いアンネローゼは身を翻すと駆け出した。
夜の森にその姿が消えた後、カレンがついに倒れ、戻りの遅いアンネローゼを迎えに来たガートルードとテレーズが惨状を目の当たりにした。
顔を覆って泣き続けるアンネローゼはガートルードが抱えて戻り、テレーズがカレンと黒風の症状を確認し、この夜の騒動はようやく一段落したのである。

カレンの怪我自体は、それほど深いものではなかった。
直接生死に関わることも、後遺症になるような傷でもない。
だが、問題は傷から派生する正体不明の病状だった。
日をまたいでも全身の麻痺と高熱が続き、現在は治癒術に長けたムルシドが懸命に看病にあたっている。
テレーズの見立てによれば単純な毒ではなく、むしろ魔術的な呪いに近いものであるらしい。
カレンと黒いアンネローゼが対峙した時に黒風が動けなかったのも、同種の呪いによるものだという。
拘束から逃れるために剣を掴んだ時の、右手の傷が原因だった。

拳を握ると、鈍い痛みが走る。
もう少し力を加えれば、また血が溢れてくるだろう。
包帯を巻いた右手を見ながら、黒風は自問していた。
何故、近付いてきたアンネローゼの異常さに気付けなかったのか。
何故、カレンがテントから出てくる前にアンネローゼを押しのけられなかったのか。
何故、守れなかったのか。
カレンにも、カレンの父親であるシュラにも申し訳が立たなかった。
シュラに殴られた頬はまだ痛んでいる。
だが、そんな痛みは物の数ではなかった。
そんなことよりも、自分が何より守りたかった存在を守れなかったことに対する怒りと悲しみが大きいのだ。
殴りつけてきた拳ではなく、深く心に伝わってきたシュラの憤りこそが痛いのだ。
行き場のない感情が赤い液体となって右手の傷から溢れた時、後ろから黒風に近付く者がいた。

「……ガートルードか」
「ああ」

赤毛の騎士が草を踏み分けて歩いてくる。
その表情には翳りが見え、彼女もまた心を痛めていることをうかがわせた。

「……アンネローゼがさ。ずっと泣いてるんだよ……あたしらのテントに戻ってからも。何があったかも話してくんないし」
「今はどうしている?」
「テレーズがついてるよ。軽い催眠魔術で寝てる……なあ、何があったんだよ」
「…………」

言えるはずがなかった。アンネローゼの欲望と嫉妬を具現化した存在が現れ、非道な振る舞いに及んだなどとは。

「……あたしとテレーズは、アンネローゼとは結構長く付き合ってきたんだ。でも、あんなに泣いてるアンネローゼなんて初めて見た。あんたが何も言わないってことは、きっと相当な事情があるんだろうけどさ」
「俺の口から言っていいことではない。一部を話せば他の事も話さねばいけなくなる」
「……なあ黒風。あたしやテレーズは、これでもあんたのことは信用してる。アンネローゼは、あたしらよりずっとあんたを信じてる。言いたいこと、分かってもらえるよな?」

分からないはずがなかった。その信頼の深さとその源に触れたのは、つい先日のことなのだ。

「……受け入れてやってくれなんて言わないよ。でも……」

ガートルードは一旦口をつぐんで、遠慮がちに言葉を継いだ。

「ちょっとだけでも、傍にいてやってくれないかなあ……」

黒風は答えず、じっと立ち尽くしていた。ガートルードが去った後も立ち尽くしていた。
ただ、右手から零れる血の滴が、僅かに熱を帯びていた。

テーマ:栗鼠ゲーム - ジャンル:オンラインゲーム

  1. 2009/02/22(日) 00:36:24|
  2. 偽島本編
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