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不定期更新な日記だったり定期更新ゲーム『False Island』の日記だったり。 気分次第で更新、今日もいい日。

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She is In

アンネローゼが右腕を振りかぶった瞬間、黒風はかろうじて自由だった己の右腕を閃かせた。
僅かでも動けば、首に当てられた剣が食い込んでくる。
いかに速く動いても剣の方が速い。
故に、狙ったのはこの瞬間。



剣を投げるその時、対象であるカレンを視認するためアンネローゼが一瞬だけ黒風から目を切った。
一瞬速く首に食い込むはずの剣の反応が遅れ、今までに飽きるほど感じた鋭い熱が手の平に走る。
その熱を無視して剣を握ると、可能な限りの力で押し返す。
いかに抜き身とはいえ黒風の握力でまともに掴めば、アンネローゼの力では押すも引くもかなわない。
本来とは違う位置に身体をずらされ、アンネローゼの剣はその狙いと速度に僅かながら変化を起こした。
低く、真っ直ぐな軌道で、一振りの剣が鋭く飛ぶ。
狙った場所は、踵の上。そこにある腱を貫けば、満足に歩くこともできなくなる。
僅かにずれたその軌道は、しかしそれでも脚を目指していた。
致命的とは言えずとも、重傷には違いない。
投擲後で崩れた体勢のアンネローゼを押しのけ、瞬時に黒風はカレンの方を見やった。

飛来する牙を、甲高い音で牙が咬んだ。
黒風が祈るような思いで首を向け、視界にいるはずのない者が映る。
カレンの脚のすぐ前で、淡い緑色の唐獅子が、その牙で文字通り剣を食い止めたところだった。
秒を置かず、唐獅子――羅喉丸が地に降り立ち、首を振ってくわえていた剣を打ち捨てる。
威嚇の咆哮が聞こえた時、黒風は右手に感じていた圧力が消えていることに気付いた。
剣はまだ手の内にある。振り返ると、黒風の脇でアンネローゼが片膝をついていた。
両の手は空である。右の剣は既に投げてしまい、左の剣は黒風が掴んでいる。
抑えられた剣を諦めて、次の行動に出たのだ。
しかし既に武器がないとはいえ、その顔には邪悪な笑みが張り付いていた。
見る者を戦慄させる笑顔に、黒風は叫んでいた。

「カレン、刀を!」

何か、奥の手を持っている。無手のこの状態から、更に何か仕掛けてくる。
漠然とした危機感からの叫びであったが、カレンとて確かな腕を持つ剣士。
相手が顔見知りであるという事実に戸惑いつつも、羅喉丸が防いだ、自分に飛んできた悪意に反応して、テントの入り口に立てかけてあった愛刀を既に手に取っていた。
それでも、アンネローゼは笑っていた。
そして黒風は、羅喉丸は、カレンは、信じられないものを目にした。

「――ふっ」

嘲るような短い吐息と共に、たった今まで空だったアンネローゼの両手に剣が現れる。
何の脈絡もなく、唐突に。指の間に柄を挟み、左右に三振りずつ。
合わせて六振りの剣が、まるで手品か冗談のように突然に。
驚く間も、まして問う間もなく、両腕を振るアンネローゼ。
殆ど脊髄反射で黒風の左手が動き、アンネローゼの左腕を弾く。
掴む余裕すらなく、当てるだけが精一杯であったが、少なくとも左の三振りはカレンにではなく空に投げさせることができた。
右から放たれた三振りのうち、一振りは先と同じように羅喉丸がその牙で止める。
また二振りは、カレンが自らの刀で弾く。

「……えっ……?」

小さな、カレンの声。
左の肩に、突然生まれた激痛。
自分に飛んできた剣は三振り、その全ては止めたはず。
だが、今感じているこの痛みは、鋭い刃物で刺された時のあの痛みに間違いない。
ゆっくりと自分の左肩を確認する。
そこに、一振り。雪に突き刺さった氷柱のように。

「……確かに二振りは、あらぬ方向に飛びました」

いつの間にかアンネローゼが距離を取って立っていた。
未だ倒れたままの黒風と、肩に剣の刺さったカレン、右手に剣を握ったアンネローゼが、正三角形の頂点に位置している。

「ですが一振りは、ただ投げたわけではありません。前を見ていれば、上は見えぬものです」

左手から放たれた三振りの中の一振り。
放物線を描いて、上から雷のように。
真っ直ぐに飛んできた剣を弾くという行動が、直線と放物線の時間差を埋めた。

「……アンネローゼ、さん……」
「致命的とは言えませんが、今はこれで良しといたしましょう」

右手に持ったその剣は、赤く濡れている。
いつの間にか黒風の手から離れた、黒風の首に押し付けられていた剣である。
ふと黒風が己の右手を見ると、手の平の傷から溢れた血で真赤に染まっていた。
さほど深くはないが、手の平の端から端まで切れている。
アンネローゼは剣を顔の前に持ち上げると、左手の親指の腹で剣先を拭い、指についた血をじっと見つめた。
赤い舌がその血を舐めとり、続けて直に剣に這わされる。
偶像にすがる狂信者のように、この世ならぬ何かを見るように。
糧を得るごとに、静かな狂気の瞳が妖しく輝いていく。
何処の空より現れたのか、雲が夜空を隠そうとしていた。


テーマ:栗鼠ゲーム - ジャンル:オンラインゲーム

  1. 2008/12/18(木) 22:28:22|
  2. 偽島本編
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