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今日もいい日

不定期更新な日記だったり定期更新ゲーム『False Island』の日記だったり。 気分次第で更新、今日もいい日。

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It Doesn't Shake

「……うまいな。相変わらずいい出来だ」
グラスに注がれた紫色の酒を飲み干した俺の、それが素直な感想だった。
先日とは逆に、今日はシュラが俺のテントにやってきている。
手土産とばかりに持ってきたのはグイン特産のポリブドウのワインだ。
鍛冶屋ではあるがシュラの家には園芸用の畑もあり、色々な野菜や果物も作っている。
俺もよくおすそ分けをもらっているが、このワインは品評会に出してもいい出来だろう。
「それで、今日はどうした。先日の話の続きか?」


「ま、そんなトコだな。もう少しお前に聞いときたいことがある」
さすがにお互いいい年だ。感情的な時はすでに過ぎ去り、普段どおりのやり取りに戻っている。
「ふむ。この際だ、答えねばなるまいな……何が聞きたいのだ」
「……まぁ、アレだな。お前、ニオのことはどう思ってるんだ?」
その名前は、俺にとって軽くはない。
ニオさんは目の前にいるシュラの妻で、つまりカレンの母親。
のみならず……かつては俺も懸想していた女性だ。
「お前が昔っからあいつに惚れてたのは知ってる。そう簡単にころっと宗旨替えしたとも思えねえ」
「……そうだな、確かにニオさんのことは好きだった。お前の言うとおり、確かに恋愛感情を持っていた」
今ではもう好きではないのか、と言われれば厳密には違う。
嫌いになったなどということはないし、俺にとってシュラ同様大切な存在だ。
「だが、今は……親愛以外の感情はない。これまでどおり友人として接していく」
「そりゃ結構なこった。けどな、これまでどおりったってそううまくいくのか?」
「俺にとって、ニオさんは星のようなものだ。見ることはできても、触れることはかなわん……そういう存在だったし、それはこれからも変わらん」
シュラの妻だったからというのももちろんある。それと同じぐらいに、俺が歩み寄ることを恐れていたせいもある。
だから、俺とニオさんの間には埋めがたい距離があった。俺にしか感じられない距離が。
「随分とご大層じゃねえか。じゃあカレンは、あいつはお前にとってどんな存在なんだ?」
言葉では答えず、俺は空を指差した。
半分より少し痩せた月が、夜の雲間から覗いていた。
「俺の人生も、それほど陽に当たっていたわけではない。暗夜行路の中で、ようやく見つけた導き手だ」
「月だって捕まるもんじゃねえだろう」
さて、それはどうだろうか。今度は下に置いたグラスを指差した。
紫色に染まった月が、そこにいた。
「ちっ、屁理屈ばっかこねやがって……」
「まだ聞きたいことがあるのだろう。なぜカレンなのか、ということではないか?」
シュラがむぐ、と嫌そうな顔になる。まあ、この問いは簡単に予想できることではあるが。
「……ニオさんに似ている部分はあるが、ニオさんを重ねているわけではない。俺が惚れたのはニオさんの娘にではなく、カレンだ」
「そうは言うが、それでもカレンはお前が惚れた女の娘じゃねえか。それにお前は、子供の頃のカレンもよく知ってる。こんな条件で惚れるってのは、なかなか聞かねえぜ」
確かにそのとおりだ。普通ならそもそも恋愛感情を抱く対象でさえないだろう。
俺とカレンの関係、さらに年齢差を考えればまず有り得ない。
「ニオさんの隣には、お前がいる。お前が支えることができる」
「……ああ」
「この島でな。カレンには色々なことがあった。色々なことが」
竜のカレンがいた。レン之助がいた。
「その時に、多少だが手助けをした。そして思ったのだな」
「何をだ?」
「この娘の力になってやりたい。お人よしで優しいこの娘を助けてやりたい。できるならばこれからの人生を、この娘の隣で生きていきたい。そう思った」
グラスの中のワインは、いつの間にか消えていた。
「……ニオさんのことは好きだった。カレンのことは」
「……カレンのことは?」
ワインの瓶が、風に吹かれて揺れた。しかし、倒れることはなかった。
「愛している」

テーマ:栗鼠ゲーム - ジャンル:オンラインゲーム

  1. 2008/10/27(月) 16:33:50|
  2. 偽島本編
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  4. | コメント:0
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