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今日もいい日

不定期更新な日記だったり定期更新ゲーム『False Island』の日記だったり。 気分次第で更新、今日もいい日。

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Blackwind's Police Blotter 6-9 -After The Festival-

「お早うございます、シュツルム様……と言ってももう夕方でございますが」
食堂にやって来たはいいもののまだ目の覚めきっていない俺に、アルマが声をかけてきた。
「ベッドに入ったのが明け方だったのだ。多少は大目に見てくれ」
「存じております。昨夜はお疲れだったでしょう」
「この国に来てから一番疲れたな。アンネローゼはまだ寝ているのか」
「まだお休みでございます。コーヒーを淹れたところですが?」
「頼む」
コポコポと音を立てて、カップが黒い液体で満たされる。口に含むと、いつもより苦味が強かった。
「お目覚めの一杯に、少し砂糖の量を減らしております」
「気の利くことだ。ところでアルマは、昨夜の騒動に参加していたのか?」
騒動とは無論、夜を徹して行われた仮面の七人の捜索だ。野外劇場にいた数万人が皇都内に触れ回ったおかげで、ほぼ全ての都民が何らかの形で関わっているだろう。
「舞台とその後の騒動は見ておりましたが、私はすぐに戻ってまいりました」



「シャーリーが心配だったか」
丸い眼鏡の奥の目が、じっと俺を見ている。わざと視線を外し、独り言のように話を続ける。
「観劇中はシャーリーと別行動だったのだろう?この別邸まではテレーズが送ってきたのだろうが、その後は一人になってしまうからな」
「仰る意味が分かりかねますが」
「優しいな、と言っているのだ。ところで、オーベルかテレーズから何か連絡はないか?」
「……」
納得していない顔でエプロンのポケットから二通の封書を取り出してテーブルに置くと、無言で礼をして部屋を出て行った。
煙草に火を着けて封書を開け、内容を確認する。どちらも俺の期待通りの内容だった。
満足してコーヒーに砂糖を入れようとしたところで、テーブルの上に砂糖の小瓶がないことに気付いた。
「……アルマめ」
封書をテーブルに置いた時に掠め取っていったのだろう。
先ほどの意趣返しか……
「まったく気の利くことだ」
外の夕陽を眺めながら、苦めのコーヒーを少しずつ飲んだ。

一杯目を飲み干し、砂糖がないので二杯目を諦めて悶々としていたところで、扉を開けてアンネローゼが入ってきた。
俺とは違い、眠たげなところはまったく見当たらない。
「お早う、アンネローゼ。よく眠れたようだな」
「お早うございます。普段と違う時間帯ですので、少し寝過ごしたようです」
寝起きは弱かったはずだ。恐らく目を覚ましたのは大分前だろう……いつもどおり凛としている。
オーベルから送られてきた封書を見せて、内容を伝える。
「オーベルから連絡があった。明日の晩、ここで夕食会を開くそうだ。恐らく、俺たちを含めて十人ほどだろう」
「夕食会、ですか?」
「夏祝祭が無事に終わったことを祝いたいと書いてあった。誰を呼ぶかは秘密らしい」
ふう、とため息をつくアンネローゼ。ふむ……やはり間違いない。
「予定では、明日の晩は夏祝祭の実行委員会と懇談会だったはずですが……」
「アンネローゼに伝えてほしいと書いてあったが、そちらは日をずらしたそうだ……料理の手配その他はアルマに連絡してあるから、明日の日中は自由行動だ、とも」
「……」
またもため息をつく。色々と言いたいことがありそうだ。
「明日、テレーズの所に行ってみるというのはどうだ?確か昼過ぎに、ウィルとメルが発つことになっていたはずだ」
「では、見送りに参りましょう……シュツルム殿」
「なんだ?」
「あの子たちにとって、今年の夏祝祭はどうだったのでしょうか?」
「それは明日、聞いてみればよかろう」

翌日。アンネローゼとシャーリーを伴ってサンドルフ家を訪ねると、既にウィルとメルは出発の準備を終えていた。
手配された馬車に、テレーズと一緒に抱えきれないほどの土産物を積んでいる。
俺たちに気付いたウィルが手を振った。
「こんにちは、皆さん。色々とお世話になりました」
「またいずれ遊びに来るがいい。いつでも歓迎するぞ」
「ありがとうございます。オーベルさんにもお世話になりましたと伝えてください……ほら、メルも挨拶しようよ」
「うるさいわね、今しようと思ってたのよ!」
この二人は恐らくずっとこのままなのだろう。シャーリーが二人を見守るように微笑んでいる。
一才しか違わないはずだが、まるで姉のようだ。
「シャーリーも、元気でね。私たちのこと忘れちゃダメよ?」
「大丈夫です。ずっと忘れませんよ」
いい友達ができたようだ。いずれシャーリーがネルトリングに遊びに行くこともあるだろう。
「二人とも。夏祝祭は楽しかったか?」
「はい、すごく。こんなに楽しいなんて思いませんでした」
「でも、来年はどうかしらね。マリンディア総隊長以外の七人は、きっと来年はいないわよ?」
「うーん……それはそうだろうけど」
二人に一番強く残っているのは、最終日の飛び入り演舞だという。終演後、仮面の連中を探しに行くと息巻くメルを宥めるのに、ウィルとシャーリーは大分苦労したようだ。
「でも、きっと来年も楽しいよ」
メルに向かってウィルが笑いかける。少し頬を染めながら、メルがぷいっと顔を背けた。
「まあ、ウィルがどうしてもって言うなら来年も一緒に来てあげなくもないけど?」
「うん。また一緒に来ようね」
微笑ましいものだ。
傍らのアンネローゼは、先ほどのウィルの答えを聞いて少しだけ顔をほころばせていた。
楽しかった、の一言だけで充分な労いだ。
テレーズが女性の御者によろしくお願いします、と頭を下げている。
二人が発つ準備は終わった。
ウィルが先に馬車に乗り込み、後から乗ろうとしたメルをシャーリーが呼び止める。
「なに?」
「ええと……」
何やらシャーリーが耳打ちしている。と、ボンッと音が聞こえそうな勢いでメルが顔を赤くした。
「な、な……」
「また今度、会いましょうね」
軽やかに笑うシャーリー。真赤な顔でうーうーと唸るメルを、ウィルが呼ぶ。
「どうしたの?」
「何でもないわよ!ていうかウィルのせいよ!」
「え、ええ?」
ぷりぷりしながら乗り込んでいった。御者が馬にピシリと鞭を当てると、静かに馬車が動き出す。
車窓から手を振る二人が見えなくなるまで、俺たちも手を振っていた。
「ねえ、シャーリー。さっきメルに何を言ったのかしら?」
興味津々の顔でテレーズが尋ねた。確かに俺も少し興味がある。
「『ウィルと結婚する時は呼んでね』って言いました」
「あらあら……」
「メルにとっても意外な伏兵だったでしょうね」
まったくだ。ともあれ、ウィルとメルは無事に出発した。後日届いた手紙に寄れば道中は何の問題もなく、無事にネルトリングに戻ったということだ。

そしてその日の晩、予定通りオーベルの別邸で夕食会が行われた。
と言っても堅苦しいものではなく、あくまでも身内あるいは顔見知りだけのものだ。
俺とアンネローゼとオーベルの三人は、玄関で招待した客が来るのを待っている。
基本的にはオーベルの名で招待してあるが、一人だけは俺の名で呼んだため俺がいなくてはならない。
夏祝祭に対する街の反応は上々だ、というような雑談をしていると、最初の客が扉を叩いた。
両脇に控えているアルマとシャーリーが扉を開く。
「こんばんは。マイザー候、お招きに預かり恐縮ですわ」
「こんばんはー。へへ、そこで一緒になったんだ」
現れたのは旧知の仲であるテレーズとガートルードだった。
オーベルに礼儀正しく挨拶をしているテレーズに対し、ガートルードの方は形ばかりといった体だ。
「今日はあまり細かいことはなしにしましょう。皆で楽しめればいいではないですか」
まるで気にしていないオーベル。懐が広いのか抜けているのか。
「アンネローゼ、お二人を食堂にご案内して、そのままお相手を」
「畏まりました」
ガートルードがアンネローゼにちょっかいを出し、アンネローゼがぴしゃりと嗜める。後ろからテレーズがにこやかに厳しい一言を突っ込む。
ここしばらくは忙しかったこともあり、久し振りに見る三人の姿だった。
次に扉を叩いて入ってきたのは、俺も一度会ったことのある偉丈夫。マグドール・フォン・ベストパルだ。
「ようオーベル。実行委員会の爺様たちが、予定を変えるならもっと早く連絡をくれとぼやいていたぞ」
「はっはっは。そう言うマグドールは、そろそろ御成婚と聞いているよ?」
「なにっ!お前、一体どこでその話を?」
「あれ、本当なのかい?これは参ったな、ちょっと言ってみただけのつもりだったんだが」
がっくりと肩を落とすマグドール。がっちりとした身体が一回り小さくなって見えるのは気のせいだろうか。
「まあ、めでたいことではないかマグドール。オーベルも悪気があって言ったわけではない」
「うむ、それは分かっているのだが。こんな鎌かけに引っ掛かった自分が少々情けなくてな」
「ところで、お相手はどこのご令嬢なんだい?」
自分が引っ掛けたことなど忘れたかのように聞いてくるオーベル。実に子供っぽい。
「まだ正式発表してないんだから、他言無用だぞ……実はブランスバイク候のご息女でな」
「へえ……!」
どこかで聞いた名だが、思い出せない。
「これはこれは。以前からやたらと彼女を持ち上げると思ってたけど、そんな仲だったとはねえ」
「茶化すな。帰りたくなってきたぞ」
「それは困る。その話も聞きたいけど、今日は色々とあるからね……シャーリー」
「はい」
名を呼ばれた、おかっぱで小柄なメイドがちょこちょことマグドールを案内していった。
「彼はいい男なのですが、どうも女性とは縁がないようでしてね。これまで浮いた噂がなかったんですよ」
「それは卿も同じだろう」
「はっはっは……まあそれは言いっこなしで頼みますよ。おや、また誰かご到着されたようですね」
叩く音に応えて、アルマが扉を開く。
場違いにも思える、修道服の二人の女性……キリアとリーンだった。
「初めてお目にかかります、オーベル・フォン・マイザー候。パーツィバル孤児院でシスターをしております、キリア・フリードと申します」
「同じく、リーン・ハルトだぜ」
今日は服の袖を下ろしている褐色の肌のリーンが、後頭部を叩かれた。
「あれほど礼儀正しくと言ったのに……本当に申し訳ございません、マイザー候」
「いやいや、お気になさらず。今日は無礼講で結構ですから」
「ありがとうございます。ところで……お会いしたこともない私たちをご招待くださった理由を、お聞かせ願えますでしょうか?」
キリアが、じっとオーベルを見据えている。深く澄んだ視線だ。
「それについては、まだ教えられません。ですが後ほど、全てお話しすると約束しましょう」
「ちぇー。貴族様ってのは何かってぇともったいぶるぜ……痛てッ」
また叩かれるリーン。あまり反省していないところは少しガートルードに似ているかもしれない。
「お二人は私が」
「うん、頼むよ」
一瞬だけキリアたちと視線を交わし、アルマが二人を案内していく。背筋を伸ばし、足音も立てず。
「相変わらず見事な立ち居振る舞いだな」
「ふふふ。我が家のメイドは優秀ですよ、シュツルム」
まったくだ、と思ったところでまたしても扉が叩かれた。
俺が出る間もなく、オーベルが自らそれを開けてしまう。気取らない主人というのは珍しい。
「これはこれは。マイザー候御自らのお出迎え、恐縮ですね」
「……」
入ってきたのは今や皇都中で話題になっている、警備隊の総隊長ヒルデガルド。もう一人は副長のグリューネワルトだった。
ヒルデガルドは言うほど恐縮しているようには見えず、礼節は持っているものの基本姿勢は友人に対するそれのようだ。
片やグリューネワルトは、どうして自分がここにいるのか分からないというような仏頂面である。
「お二人ともよく来てくれました。夏祝祭の警備はさぞ大変だったでしょう……陛下も大変ご満足されていましたよ」
「もったいないお言葉ですね。音に聞こえたマイザー候のご招待、どんな趣向が凝らされているか楽しみです」
「細工は流々、仕上げをとくとご覧じろですよ。ささ、こちらへどうぞ……シュツルム?」
「オーベル。俺はいま少しここで待つ」
「そうですか……しかし、貴方の招待客は来てくれるのですか?」
「分からん。が、待ってみる」
肩をすくめてみせたオーベルの案内で、二人が屋敷の奥に消えていく。あの二人の登場で、ガートルードがどんな顔をするか見られないのが残念だ。
それからしばらく待っていたが、予定の時間ももう迫っているというのに扉を叩く音は聞こえない。
やはり招待した相手がまずかっただろうか。本来ならこういった場に出てくることなど、まず有り得ない相手だ。
役者が揃わないのは残念だが、時間も時間。俺も行くとしよう。
そう思ったまさにその時、控えめにようやく俺の望んだ音が響いた。

客を連れて、食堂の扉の前に立つ。
二度、それから三度扉を叩いて、中のオーベルに全ての客が到着したことを告げる。
オーベルの声が朗々と聞こえてくる。
「皆さん、今宵は急なご招待にも関わらずお集まりくださった。まずはお礼を申し上げます……さて、始める前に一つだけ皆さんにお願いしたい」
一度言葉を切った後は、何の音も聞こえてこない。恐らく皆がオーベルを見ているのだろう。
「今宵、この席は全て私が預かります。よって、いかなる禍根も起こさず、また残さずに願います。宜しいでしょうか?……皆さんのご同意に感謝します。それでは、最後の招待客の登場です」
芝居がかったセリフ回し。ウィルとメルに語った『道楽貴族の次男坊』という肩書きが板についている。
隣にいる『客』が見えないように扉を開けると、円卓についた全員がこちらを向いていた。
こちら側から円卓の真向かいの席はオーベル。その左にマグドール、続いてキリアとリーン。
空席が二つ続いてアンネローゼ、テレーズ、ガートルード。そしてグリューネワルト、ヒルデガルドはオーベルの右に。
「遅くなった。この場にいる皆はオーベルが招待したが、もう一人は俺が個人的に呼んだ客だ」
食堂に足を踏み入れ、後ろの『客』に手招きする。
入ってきたその姿を見てヒルデガルドとグリューネワルトが僅かに腰を浮かせたが、思い直したようにゆっくりと座り直す。
先ほどのオーベルの言葉はやはり有効だ。
「ほお……錚々たる顔ぶれではないか。これは楽しい夜になりそうだな」
あっけらかんと言ってのける『客』。俺が呼んだその者は、皇都警備隊の長たる二人の天敵とも言える者。
皇都の裏側を仕切る若き銀髪の女傑、シルバであった。

テーマ:栗鼠ゲーム - ジャンル:オンラインゲーム

  1. 2008/09/13(土) 20:27:09|
  2. 偽島の裏
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