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今日もいい日

不定期更新な日記だったり定期更新ゲーム『False Island』の日記だったり。 気分次第で更新、今日もいい日。

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Blackwind's Police Blotter 6-5 -Ready For Harvest-

七人ともなれば結構な大所帯だ。しかもその内三人は子供。
ウィルとメルは文字通りただの子供だし、シャーリーも働いているとはいえまだ十三の少女だ。
気が付けばあちらに、目が留まればこちらにといった具合で、好き勝手に動き回っている。
まあ、それをいちいち咎めるほど無粋ではないが……特にウィルとシャーリーは初めての夏祝祭ということもあり、見る物全てが珍しいようだ。
そんな嬉しそうな表情を見ると、つまらないことを言って水を差すのは憚られる。
いつの間にかシャーリーにはアルマが、ウィルとメルにはアンネローゼとテレーズがそれぞれつくような形になっていた。
ところが。
「む?」
……どうやら油断していたらしい。焼き菓子の屋台に気を取られている内に、気付いたら俺一人になっていた。



これではアルマに何を言われるか分かったものではない。
周囲を見回してみるが、別の通りに行ってしまったらしくアンネローゼたちはどこにも見当たらない。
さて、困った……と思っていたところで、別の顔見知りが見つかった。
「キリア、リーン。元気そうだな」
「あら、シュツルムさん。図書館以来ですね」
「おー、元気元気……ってわけにもいかないんだな、これが」
褐色の肌に腕まくりをしたシスター、リーンが肩をすくめてみせる。
「チビどもが、祭りだってんで大騒ぎしてんだよ。しかも例の高札の件もあるし」
「『赤髭』と『白姫』のか。それが何の関係があるのだ?」
「実はここだけの話ですが……孤児院の子供たちにとっては、あの怪盗は英雄扱いなんです」
ほう……それは意外だ。教会で育っている子供達が、盗人を英雄視するとは。
「あいつらは悪い連中からしか盗まないし、人殺しなんかしない上に警備隊にも捕まらないってとこがお気に入りなんだよ。ただ、今回の高札はなあ」
「まずいのか?」
「あんなに派手に予告が出たもんだから、チビどもが大喜びだよ。落ち着かせるのが一苦労だぜ……まったく、どこの誰か知らないけどふざけたことしてくれるよ」
「高札の件は俺も色々な筋に聞いてみたが、やはり今回に限って出されたというのが引っかかっているようだな」
「ええ。今まではあのようなことは一度もありませんでした」
何故か突然に出された犯行予告。しかもその内容は、数万人が見守る中で警備の中心にいる皇族の手から盗み出すというもの。
条件としてはあまりにも厳しすぎる。
「果たしてどうやって実行するつもりなのか気になるが……だが、現れない可能性もあるか。何しろ盗人の言うことだ、別の狙いがあるのかもしれん」
「いや、あいつらは必ずやるよ。他の物なんか盗んだら、ただの嘘つきになっちまうんだぜ?」
「どのように盗むのかは見当もつきませんが、現れると思います。敢えて予告を出す理由も見当たりませんが、嘘をついて評判を落とす理由も見当たりませんから」
「ふむ……そんなものか」
「そんなもんだよ。まあ何にせよ、今年の最終日は荒れるぜ」
「ところでシュツルムさん、今日はお一人なんですか?」
いかん、それを忘れていた。
「いや、実はアンネローゼたちとはぐれてしまってな。見かけなかったか?テレーズやウィルも一緒なのだが」
「ウィル……ああ、あのヒヨコ頭の小僧か。見てないぜ?」
「私も見ていませんね」
「そうか……まあ、合流する場所は決めてあるからそこに向かったのかもしれんな。足を止めさせて済まなかった」
「いいってことよ。んじゃ、あたしたちは行くぜ」
「失礼いたします。またいずれ」

さて……素直に合流地点に向かうべきか、それとももう少しこの辺りを探してみるか。
まだ近くにいるかもしれないし、既に俺がはぐれたものと見て移動しているかもしれない。
どちらも考えられる、少々面倒な事態だ。
焼き菓子をかじりながらどうしたものかと思案していると、人混みの中にまたも見知った顔を見つけた。
背筋を伸ばし、速い歩調で歩いている――それに合わせて揺れる、青い波のようなクセのある長髪。
向こうも俺に気付き、足を止めると小さく会釈をしてきた。
「先日は失礼した。ご気分を害されたであろう?」
「いや、そのようなことはない。職務に忠実なのはいいことだし、ガートルードは少々羽目を外しすぎるきらいがある」
俺が答えると、グリューネワルトは鷹揚にうなずいた。
「ビットフェルトは機動騎士団に入れたいのだがな。武の腕前もあるし、長期の遠征が多い機動騎士団ならサボりようもない」
「人事異動か?」
「いや、それはせんよ。あれで中々の人気者だし、下の連中の面倒見もいい。隊内の雰囲気作りに一役買っているのだ」
「意外だな。ただの平隊士の事をそこまで覚えているとは」
「週に二度、三度と始末書を出してくる者など嫌でも覚える。正直、ビットフェルトの名の入った始末書は見飽きた」
想像通り、上の覚えはめでたいようだ。
「して、卿も見回りか?単独行動のようだが」
「特務部隊は普段は街に溶け込んでいる。国民への喧伝効果もあって私は表に立つ機会が多いが、他の隊員たちは皆身分を隠して行動するのだ……実質は隠密部隊だな」
「と、いうことは……」
「貴殿の周囲にいる誰かが、私の供だ」
怖いことを言ってくれる。
「私が見回りに出ることはあまりないが、今はとにかく人手が欲しい。都民たちからも有力な情報がなかなか得られんし、相手が獣人というのもまた困る」
「ほう、何故だ?」
「こちらの僅かな動きもすぐに伝わる。彼らは普通に生活をしてはいるが、独自の情報網を持っているらしいのだ。伝達される情報は、経由点が少ないほど正確性が高まる」
「なるほど……絶対数の少なさが利するか」
「そうだ。まして誰が獣人かなど、外見だけでは分からん……能力を使っていればまだしもだが」
「身体能力を上げるかわりに外見が変わるのだったな。少し聞いたことはあるが、具体的にどう変化するのだ?」
グリューネワルトが、ぽんぽんと軽く頭を叩く。
「頭髪の一部が急激に変化して、動物の耳を形作る。無論ただの髪だから実際に器官としては用を為さんのだが、猫や犬のそれを模したものになるのだ……我々は『獣化』と呼んでいる」
「耳、か……その獣化はどの程度の期間持続する?」
「臨床報告では、個体差はあるが最低でも三日。獣化している間は能力を使用することができず、頭髪の一部だからといって切ってもすぐに再生する。要は、能力が使えない期間は耳が出ているということだ」
「人為的にその期間を短くすることは?」
「医療的見地からはまず不可能だ。魔術を用いれば可能ではあるが魔法陣の直径は五メートルとかなり大きいし、厚さが一メートル以上の木材に描く必要がある。さらにできるだけ魔法陣に近い場所にいなくては効果がない」
「難儀なことだな。それを考えればおいそれと能力を使うこともできないはずだが……」
「そのはずなのに使われるから困るのだ。闘うだけなら私や総隊長を始め、相手ができる者はいる。だが、向こうは逃げ切るだけでいいのだ。高い身体能力の全てを逃走に振り向けられては、追いつくことはできん」
やれやれ、といった風にため息をつく。
むう……不思議だ。このため息のつき方には見覚えがある。
どこで見たのだったか……それはさておき、先ほどからどうもグリューネワルトの態度に引っかかるものを感じる。
落ち着かない、というほどではないが、誰かを探しているかのように視線が周囲に散るのだ。
「ところで……折角の夏祝祭だというのに、貴殿は一人でいるのか?」
「うむ、実はな……」
現状を説明すると、呆れられてしまった。
「焼き菓子に気を取られて、とはな。随分と大きな子供もいたものだ」
「面目次第もない」
「どうやらそれなりに時間も経っているようだし、集合場所に行ってみたほうが良いだろう……ああ、それと……」
「ん?」
グリューネワルトが目をそらして口ごもる。言おうかどうしようか迷っている、そんな印象を受けた。
が、それは一瞬のことで、またすぐにこちらを向いた。
「ある筋から聞いたのだが。ニーダマイヤーは貴殿の案内役をしているそうだな」
「アンネローゼか?実際の所はお目付け役と言った方が正しいがな」
「貴殿の目から見て彼女は、その……どうだ?しっかりと務めているか?」
質問されている内容は分かる。
が、その意図が分からない。オーベルの護衛騎士団に所属する見習い騎士と、皇都警備隊の副長。
職務上で何か繋がりがあるとは思えないが。
「あの年にしては立派なものだ。経験の足りない部分は確かにあるが、それもいずれは埋めていけるだろう」
「そうか……」
「何故、アンネローゼのことを訊くのだ?」
「……いや、済まない。今の問いのことは忘れてくれ……」
軽く頭を下げると、やってきた時と同じような速い歩調で去っていった。
その背中は、この話はもう終わったのだと宣言しているようだった。
しかし……『そうか』と言った時に一瞬だけ見せた、あの安心したような表情は一体……?

結局、アンネローゼたちとは最初に決めておいた合流地点で再会できた。
当然のようにアルマとアンネローゼには小言をもらってしまったが……非は俺にあるだけに何も言えない。
その後はまた七人で祭りを見て回り、日が暮れた辺りで解散となった。
ウィルとメルはテレーズに連れられて行き、残った俺たち四人も別邸へと向かっている。
途中ふと思い出し、アンネローゼにグリューネワルトのことを訊いてみた。
「……ミューズ候ですか?オーベル様の出仕のお供をした際に、公務でお会いしたことは何度かございますが……特別に親しいという程では」
ふむ、尚更分からん。
グリューネワルトの質問、というよりもアンネローゼに対する関心の出所は一体何なのか。
まあそれは考えても答えの出ないことだろうし、今はそれよりも考えることが他にある。
シャーリーが今日見た物を楽しそうにアンネローゼに報告している。
アンネローゼも、にこやかにそれを聞いている。
二人に聞こえないように、アルマに話しかけた。
「皇都の中で、ならず者が集まるような場所はあるか?」
「第十区の外れにある娼街でしょう。カストロプ地区という場所ですが、治安の悪さではそこが一番でございます」
「二人が寝た後で馬を一頭、手配できるか」
「……まさか、行かれるおつもりですか?」
「そう嫌そうな顔をするな。娼街に興味はないが、そこに集まる連中に用があるのだ」
疑わしげな視線を俺に向けている。しばらくそうしていたが、俺の言を信じてくれたのだろう。
日付の変わる頃に馬を用意すると約束し、それ以後はお互いその話題に触れなかった。

なるほど、アルマの言っていたとおりだ。
一区画を囲むように多くの警備隊士が配置されているし、囲みの内側は黒を基調とした重暗い雰囲気に包まれている。
路上に座り込んだ連中が、闖入者である俺を品定めするように視線を送ってくる。
薄汚れた酒場の看板が並び、物の壊れる音や怒号も時折聞こえる。
辻ごとに立ち、一夜の客を流し目で探す女たち。
その中の一人と目が合った。
俺が足を止めると、真っ直ぐにこちらにやってきて隣に立つ。
「煙草を持っていないか?」
女、というよりは娘という方が正確だろう。化粧で年を誤魔化す必要がない程度には若い。
夜の黒の中で煌く、腰まで届く長い銀髪と挑戦的なツリ目、そして不遜な物言いが特徴的だった。
渡した煙草に火を着けると、深く吸い込んで長く煙を吐いた。
「それで、どこに行く?行き先で多少値段は変わるが」
「ほう」
「私の値段はもちろんある。だが石畳の上よりは柔らかいベッドの方が、お互いゆっくりできると思わんか?」
「これならどこになる?」
紙幣を何枚か抜いて見せる。ヒュウ、と小さく息を呑むのが聞こえた。
「この辺りで一番いい宿に入っても釣りがくるな」
「行く必要はない。この金で案内を頼みたいのだ」
「……客というわけではないのか?」
「そうだ。お前さんたちの元締めに会いたい」
突然娘が口に指を当て、甲高い音を出した。その指笛が鳴り終わるかどうかという時には、手に手に剣呑な得物を持った男たちが俺の周りを取り囲んでいた。
棒切れや短刀、酒瓶などなど。人数はおよそ十名。
「こちらの御仁は、頭領に会いたいのだそうだ」
数歩下がった娘の言葉を受けて、代わりに俺の前に立った男が言う。
「頭領に?……ジジイ、今日は見逃してやる。悪い事ぁ言わねえから、とっとと帰んな」
ジジイと来たか。俺も確かに若くはないが、その呼ばれ方は十年は早いと思っている。
「用が済めば俺もそうする」
「怪我してえのか?」
「させたくはないな」
俺の答えは気に入らなかったらしい。手に持った棒を振り上げ、殴りかかってきた。
殴り返すのは簡単だが、怪我をさせたくないと言ったのは正直なところだ。
できれば大きな騒ぎは起こしたくない。
半歩前に出て棒を持った腕を掴む。普段なら捻り上げるところだが、人数も考えると別の形の方がいいだろう。
肩を抜いてしまわないように加減しながら、掴んだ腕を支点にして振り回す。
三回転ほどしたところで止めると、男がぐったりしてしまった……少し揺らしすぎたようだ。
他の連中は振り回される男にぶつからない程度まで飛び退って、どうすべきか思案している。
さっきまでは人数もあって完全に優位だったはずだが、人間一人を片腕で振り回す腕力が相手となると勝手が違うらしい。
「俺は争いに来たわけではない。話がしたいだけだ」
「……聞くだけは聞いてやる。けど、頭領は忙しい人だ。保証はできねえ」
「充分だ。俺はシュツルムという」
掴んでいた男を引き渡して、囲みの後ろに隠れていた娘に煙草を一本差し出す。
「……なんだ、これは?」
「彼らを呼んでくれた礼だ。しかし吸い過ぎには気をつけろ」
「私も安く見られたものだ」
そう言いながらも箱の方をひったくっていく。
「さらばだ。いずれ客として来たなら、少しは安くして差し上げよう」
ひらひらと手を振ると、路地の向こうに消えていった。

男の一人に案内された館は、そこそこ大きくはあったが外観はこれといって目立つようなところはなく、むしろ努めて周囲の建物に同調させているようだった。
が、一歩足を踏み入れるとがらりと雰囲気が変わる。
足首まで埋まるのではないかと思えるほど毛足の長い絨毯が敷かれ、外観以上に奥行きのある不思議な設計になっている。
かなりの数の明かりが灯されており、今が夜であることを忘れてしまいそうだ。
案内してくれた男は、『二階の奥の部屋だ』と言って館の入り口で帰ってしまった。
一階の広間には誰もいない。呼ばわっても恐らく誰も出てこないだろう。
絨毯に足音を全て吸収されながら階段を上る。
金属の手摺は丁寧に磨き上げられており、俺の顔さえ映りそうだった。
二階には幾つかの扉が並び、廊下の一番奥の扉だけ他と違って精緻な彫刻がされている。
ここまでは誰にも会わなかったが、部屋の中からは確かに誰かがいる気配を感じる。
扉を二度叩くと、中から聞き覚えのある声で返答があった。
それも、ごく最近聞いた声だ。
「開いている」
取っ手を捻って扉を開ける。部屋の中央に据えられた大きな机の向こうに座っていたのは、先ほど煙草を取っていった銀髪の娘だった。
「……確認だが、俺は元締め……頭領に会いに来たのだ」
「間違えてはおらんよ。私がこの第十区の――というよりも皇都ワールッツの裏側を仕切っている、頭領のシルバだ」
いつの間に着替えたのか、通りで見かけた時の扇情的な服ではない。
黒と白を巧みに織り交ぜた正装だ。
年に似合わぬ喋り方だが、この格好をしていると妙に威厳を感じるから不思議なものだ。
「私にも立場というものがある。それなりの格好で出迎えないといけないからな……座られよ」
勧められるままに椅子に腰を下ろし、机を挟んで向かい合う。
シルバは肘をついて組んだ手の上に顎を乗せ、悪戯っぽい微笑を口元にたたえている。
「それで……私に何の用で参られたのかな?『マイザー候預かりの居候』殿」
「ほう。俺のことは調べがついているのか」
「立場があると言っただろう?どこの誰かも分からないのに一対一で会うほど愚かではない」
「俺と会うという判断を下した基準を聞きたいものだな」
「警備隊の連中と仲が良いようであるし、どうしたものかとも思ったのだが……話がしたいだけ、という部分を信じることにしたのだ」
「間諜として忍び込んできたのかもしれんぞ?」
「今の所、我々と警備隊はそこまで派手に抗争していない。そして警備隊以外に我々を調べそうな組織は見つからなかった……間諜の線はない。我々が調べて見つからないということは、そんな物は存在しないということだ」
自信に満ちた回答だ。やはり裏側の世界に生きる者たちの情報網は大きい。
「しかし、俺を信じるというのも随分と度胸があるな。『こちら側』で性善説は長生きできんのではないか?」
「一昔前まではな。今は、信じない事と信じる事を見極める方が大事なのだ……何もかもを疑ってかかると、それはそれで長生きできない」
「難しいものだな」
「簡単ではないな。さて、無駄話はおしまいだ。何の用があって私に会いに来たのか、聞かせてもらおうではないか?」
視線の強さが変わる。これまでの話とこれからの話はまったくの別物――つまらない世間話を切り出そうものなら、即座に話を打ち切るつもりだろう。
外見は確かに若いが、シルバの纏っている空気は本物だ。
「皇都内の獣人の情報網をいじりたい。ある情報を流してほしいのだ」
「……ふむ……それはどんな情報だ?」
「『獣化解除を促進する魔術の痕跡を辿る方法を、極秘裏に魔術研究院が編み出した』」
「……何だかよく分からないことをするな。それで君にどんな利益がある?」
「『赤髭』と『白姫』を釣り上げる。あの二人が獣人であることは既に知れ渡っている。恐らくは魔術で獣化期間を短くしているはずだ」
「だろうな。出てくる頻度から考えれば」
「そこでこの情報が活きる。期間を短くしようと魔術を使えば足がつく――そう情報を流されれば、現れた時に獣化できんだろう」
シルバは腕を組んで椅子に寄りかかった。どうしたものかと思案しているようだ。
「まあ、理屈は分かるが……何故、君がそれをやる?警備隊に頼まれでもしたのか?」
「いや、これは俺の独断だ」
「では、あの二人を捕まえて新しく英雄にでもなりたいと?」
「それも違う。本音を言えば俺はあの二人を捕まえたいわけではない」
シルバが眉間に皺を寄せる。
「なら……何故だ?」
「難しいことではない。祭りを面白くしたいだけだ」
「……で、私がそれを引き受ける見返りは?」
「お前さんが今後困ることがあれば力を貸そう」
「ははっ……随分とお手軽だな。いいだろう、気に入った。引き受けて差し上げよう……しかし、どうして我々が獣人にも関われると分かった?」
「獣人がいかに閉鎖的で独自の情報網があるといっても、絶対数が少ない以上は情報を得られる場所が限られる。情報を得るために忍び込むとすれば『こちら側』の方が情報量が多い……一方的に獣人の間諜を忍び込ませておくほど暢気でもあるまい?」
「見事だ。確かに我々から向こうに話を回すことはできる。だがそれはともかく、明日一日でどこまで話が広がるかは分からないぞ?」
「構わん。失敗したならそれはそれだ」
立ち上がり扉に向かう俺の背中に、シルバが声をかけた。
「何やら大きなことを企んでいるようだが、大丈夫か?やり方を間違えると大変なことになるぞ」
扉に手をかけたまま振り返る。
「正しいやり方も間違ったやり方もない。俺が通すのはいつでも同じやり方でな」
「ほう、それは?」
「『俺の』やり方だ」
「くくく……くはっはっはっ……」
こらえきれないというようなシルバの笑い声を背に受けて退室した。
さて、ぎりぎりになったが種は蒔き終え、水も与えた。
芽を出してから収穫まではあっという間だろう。
その時が実に楽しみだ。

テーマ:栗鼠ゲーム - ジャンル:オンラインゲーム

  1. 2008/09/13(土) 20:15:28|
  2. 偽島の裏
  3. | トラックバック:0
  4. | コメント:0
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